平成27年第3回定例会(平成27年9月~平成28年1月)一般質問

Q
 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、昨年末に行われました吉村市長の施政方針に対し、質問を行います。
 市長が施政方針の中で、民営化・統合案件については議会の皆様と対話を重視しと発言されたことにつきましては、我々議会と対話する意思を示されたという意味で、まずは歓迎を申し上げます。ただし、民営化・統合案件といった一見耳ざわりがいいものだけが改革ではありません。
 我が会派は、これまで大阪で培われてきた歴史、伝統、風土を重んじながら、市政改革の結果が市民の福祉の増進につながり、大阪の成長・発展に寄与するものでなければならないと考えております。市民や利用者の意見を二分するような案件、また市民生活に与える影響が大きい案件についても、住民代表たる議会の意見にしっかりと耳を傾けていただきたいということをお願いいたしたいと思います。
 市長は、施政方針の中で、橋下市政の改革でできなかったこと、修正すべきことにしっかり取り組んでいく、また粘り強く合意形成を図りと御発言をされております。市長がそのような思いを持っていただいている今こそ、橋下前市長がスケジュールありきで強引に進めてきた各施策を検証するまたとない機会であります。
 我々は、過去に戻すべきなどと言ったことは一度もありません。検証の上、効果が認められるものについては、さらなる効果を目指し、効果が見えにくく見直しすべきものについては一旦立ちどまるということが必要なのではないでしょうか。我々の思いに対し、真摯に協調していただけるなら、市長の考える改革に対し、是々非々で考えた上で、建設的な議論を行ってまいりたいと考えております。
 効果検証と見直し、つまりPDCAをしっかりと回す市政運営の実現に向けた市長の御所見を確認すべく、以下数点にわたり、質問をさせていただきます。
 まず、これまでの市政改革に対する認識についてお聞きをします。
 昨年11月の市長選において、市長は、前市長就任前の市政は何ら改革に取り組んでこなかったかのような主張をされておりました。しかし、実際は、平成17年度以降、關市長のもとで作成した市政改革基本方針において、「身の丈改革」と称して、マネジメント改革やコンプライアンス改革、ガバナンス改革に取り組み、これに続く平松市政においても地域再生の視点を含めた「なにわルネッサンス2011」の策定など、關改革を踏襲して改革を進めてきたと認識をいたしております。
 これらの改革の成果としては、例えば職員数の削減では、平成17年10月で約4万7,000人であったものが、前市長の就任直前の平成23年10月では約3万8,000人と、市政改革基本方針で目標としていた3万人台にまで減少いたしております。また、全会計ベースの市債残高では、平成17年度末で5兆5,022億円であったものが、平成23年度末では4兆9,993億円と、4兆円台にまで減少いたしております。
 吉村市長は、これらの成果を踏まえて、橋下市長就任前の市政改革についてどのように認識をされておられるのか、御所見をお伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 まず、關、平松市長のもとでは、外部の視点を導入して、都市経営という発想で市政改革に取り組み、肥大化していた公共事業の圧縮による市債残高の削減や公益通報制度の導入、労使関係の健全化、地域の再生など、市政全般にわたって改革を推進し、職員数や人件費の削減、外郭団体の見直しなど、一定程度の成果を上げてきたものというふうに考えております。
 橋下市長のもとでは、市長のトップマネジメントのもと、施策の優先順位、これを明らかにしながら、施策・事業を聖域なくゼロベースで点検・精査して、他都市の水準に比べて過大になっている市民サービスの見直しなど、無駄を徹底的に排除して、成果を意識した行財政運営を推進されてきました。また、多様な主体による協働の取り組みを継承・発展させるなど、活力ある地域社会づくりや自律した自治体型の区政運営を市政改革プランの柱に掲げて、住民自治の拡充に取り組んできました。こうした一連の取り組みによって、市債残高の削減、通常収支不足の改善などが実現してきたものというふうに考えております。
 今後も厳しい財政状況が続くことが見込まれますので、これまでの改革を継承しながら、市民の安全・安心を支える安定した財政基盤の構築に向けて、引き続き市民感覚を持って市政改革を推進していきたいと思います。

Q
 市長、私は何も橋下市長が改革をしてないと言ってるわけではなくて、關市長が一番大変な時期に改革をした、その認識をしっかりと持っていただきたいと思います。これから協調していくには、市長と我々でこの部分の認識が一致をしないと前に話が進んでいきません。そのことを皆様方も御了承いただきたいと思います。
 今、市長がしっかりと事実については認めていただきましたので、選挙の際におっしゃったことは、橋下市政以前が全てでたらめやったというのは、選挙用の発言であったと、そのように理解をさせていただきます。
 また、先ほど維新さんの質問に対して答弁がありました待機高齢者ゼロも同じことが言えます。市長がおっしゃる待機高齢者ゼロに向けた取り組みというのは、実は平成12年の磯村市長の施策からの継続であって、大変重要なものではありますが、目新しいものではありません。また、緊急性・必要性が高い申込者がおおむね1年以内に入所が可能になるという施策を待機高齢者ゼロというのは、誤解を招きかねない表現であります。その点も申し上げておきたいと思います。
 さらに言えば、市長選において、柳本候補の主張した敬老パス50円負担撤廃に対して、その費用を新たに待機高齢者対策に回すようなことを発言されておりましたが、それは全く無関係であるということもあわせて指摘をしておきます。
 次に、大学の統合についてお聞きをします。
 市立大学と府立大学の統合により、魅力あふれる新たな公立大学が大阪に誕生するということであるならば、我が会派としても実現に向けて議論に入っていくつもりであります。しかしながら、そのためには、新大学が発展していくことが見通せるような設置形態などの仕組みをきっちりと構築していくことが必須であると考えます。
 例えば、設立団体のあり方については、府と市が共同で設立団体となる方向で具体的協議を進めていくことを既に府と確認しているとのことでございましたが、我が会派はその場合の問題点として、府市の両議会の同意がなければ重要事項が決定できず、場合によっては円滑な法人運営を阻害する事態になりかねないことを指摘したところであります。
 このような設立団体のあり方や統合の手法等の重要な事項について、議会の意見など幅広い意見に耳を傾けることによってさまざまな可能性を検討し、よりよい仕組みを追求していくことがまさに設立団体の責務ではないでしょうか。新大学の設立に失敗は許されず、二重行政などといって拙速に結論を求めることは、市民に対して許されないことであります。
 市長は、施政方針において、民営化・統合案件については議会との対話を重視し、修正するところは修正し、議論を進めていきたいと発言をされておりました。本件は、まさにそのような姿勢が試される問題であります。
 市長は、設置形態について一から幅広く議論する気はおありでしょうか。お伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 まず、両大学の統合による新大学の設置につきましては、学生や受験生だけでなく、大阪の次代を担う子供たちや関係者に多大な影響を及ぼすというものだけでなく、長きにわたってこの大阪の成長を大きく左右する重要な課題であるというふうに考えております。
 確かに設立団体のあり方に関しては、安定した財政的支援が担保できるなどの合理性が認められますので、府市の共同設立とする方向で具体的な協議を行っていく旨、府と確認しているところであり、私としても共同設立がふさわしいというように考えております。
 一方で、大阪大学、神戸大学に次ぐと称されるこの高い学力水準を初め、これまで両大学が築き上げてきたプレゼンス、ブランド力は大阪の財産であることも、これ揺るぎない事実であります。新大学をよりよいものにしていくために、設立団体のあり方などの重要な事項については、メリット・デメリットを整理・確認するとともに、議会でもしっかり意見を交わしながら具体的な検討協議を進めて、新大学が大阪の公立大学として発展して、大阪の誇りとなっていくような、そんな仕組みや環境を整えていきたいというふうに思っております。

Q
 市長は、幅広く議論されるということで、非常に歓迎をいたします。
 しかしながら、一方で、松井知事は、過日、府市統合本部での決定が結論であるかのようなことをおっしゃっておりました。これは、言い方を変えれば、議論には応じないと言ってることと同じであります。しかも、府市統合本部の議論は、大阪市の廃止を前提としているものですから、住民投票の結果を受けて否定をされたものであります。そのような前提のもとでなされた府との確認はほごにしていただきたいと要望しておきます。
 また、仮に市としての方向性が府と異なる場合には、知事は知事、市長は市長として独立した考え方を示すおつもりがあるのか、その覚悟をお伺いします。
A

吉村洋文市長

 先ほども申し上げましたが、私自身は、この設立形態については府市が共同で設立団体となることがふさわしいと考えてます。一方で、設置形態のあり方については、幅広い意見、これに耳を傾けて、よりよい仕組みを追求していかなければならないものであるとも考えています。
 大阪の財産である両大学を大阪の成長を牽引する公立大学として飛躍させていかなければならないという点では、私も知事も同じ思いをするものであります。今後、知事ともしっかり協議を行って、議会とも十分に意見を交わして、よりよい大学、新大学の実現に向けて、設立団体としての責務を果たしていきたいというように思っております。

Q
 ぜひとも、知事とも協議をしていただいて、誤解を払拭するように努力をいただきますようにお願いします。
 それから、実は前市長に対しては、私はこの問題のときに中期目標の修正を求めました。しかしながら、これは行政と法人との関係のものであるということで、この修正には応じていただけませんでした。できれば、目に見える形での表現をしていただければ、それが担保となると思います。
 例えば、中期目標の中では、法人と行政との間の指示、そういう形ではなくても、具体的な今の状況を付記する、そういったことも工夫で可能だと思いますので、ぜひとも御検討をお願いいたします。
 次に、区長・所属長の公募についてお聞きをします。
 前市長の肝いりの区長公募については、民間の経営感覚などがうまく区政に取り入れられ、新たな施策の推進や組織の活性化につながった区が一部はあったようでございます。一方で、外部から登用された区長18名のうち5名が分限免職、区長不適格による人事異動、自己都合退職により退任をいたしました。
 前市長は、外部区長の報酬を内部登用の区長よりも高く設定したり、外部区長の非違行為には甘いなど、外部人材の優遇が多々見受けられましたが、そのようなえこひいきがまかり通ると、地域からの信頼を失わせ、職員のモチベーションも悪化する一方であります。
 そこで、市長や副市長による上からの評価だけではなく、地域や現場の職員が区長を評価する仕組みが具体的に必要と思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 また、局長公募の選考状況を見ても、結果的に内部職員が相当残る結果となっており、もはや公募ありきの硬直的な運用に限界が来ているというほかありません。ましてや、大阪府では、条例で特別の理由がある場合と認められれば公募が不要となっており、昨年度は定年退職する総務部長や財務部長のポストは公募せず、内部の人事異動で登用されております。
 このような大阪府の状況も踏まえ、吉村市長としての公募の目的やメッセージ性をより明確にできないのであれば、公募対象を外部人材の見識や経験等を本当に必要とするポストに限定するなど、条例の一部改正も含めた公募制度の見直しをすべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 幹部職員の公募につきましては、組織内外からよりよい人材を登用することで、民間の新しい視点を組織に取り入れる、そういったことなど、新たな施策の推進や組織活性化を図って、市民の期待する市政を推進するために実施してきました。
 公募制度を運用していくに当たっては、これまでも公募PTの議論などを踏まえて、明らかになる課題を解決しながら、よりよいものとしてきたものと認識しております。
 また、この公募区長の就任によって区の特性に応じた独自施策が推進されておりまして、例えば、訪問型病児保育事業であったり、住民票等証明書宅配サービスなど、区政運営に成果があらわれてきたものというふうに考えております。この区役所の窓口サービス等々も含めて、大きく雰囲気も変わってきてるという市民の皆さんの声も多くお聞きしております。
 この区長の評価に当たっても、区の最高責任者として適切に組織を管理・統率できているかなど、総合的な観点から判断しています。加えて、これまでの公募結果については、外部化、客観化された選考プロセスそのものにも意義がありまして、内外の人材が切磋琢磨してよりよい人材を登用してきたところであります。
 公募区長・局長による新たな施策の推進や組織活性化を今後も着実に進めるべく、公募を引き続き実施していきたいというふうに考えております。

Q
 来年度のことについてお伺いしたいんですけども、今年度の区長公募については、退職される20ポストのうち6ポストのみが公募されております。ほかの14ポストはどうされるつもりなのか、人事面での市長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。また、仮に任期を延長するべきであるというお考えであれば、その場合は、高額な報酬は維持されるつもりなのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
A

吉村洋文市長

 次の14ポストにつきましては、今、区長の応募の人材を見ながら判断していってるところでございます。
 それから、報酬の点については、これについても今少し内部で検討してるところでございます。これはちょっと人事面にかかわることでもありますので、御指摘の点もありますけども、ちょっとこれは内部で今検討してる最中でございます。

Q
 我々としましては、任期を延長するべき区長が14ポスト分もおられるとは思っていないということも指摘をしておきたいと思います。
 次に、校長公募についてお伺いいたします。
 校長公募においては、外部校長によるさまざまな不祥事のため、教職員の士気が低下し、PTAや保護者との関係が悪化するなど、学校現場は大混乱に陥ってしまいました。まずは、このような結果を招いたことについて、きちんと反省するべきだと考えております。
 そもそも公募のあり方に欠陥があるにもかかわらず、選考方法に論述試験を加えたり、集団討論を行ったりとした程度では、マイナーチェンジにすぎません。また、内外人材の採用枠を設けずに同じ基準で選考するようにしているとのことでございますが、内部で得られるような人材なら、わざわざ外部に求める必要はありません。このような変更は、公募の目的をみずから否定しているようなものだと思います。
 本年度の外部合格者は1名ということで、我が会派が平成26年9月の市会で校長公募にかかわる補正予算を承認する上でのやむを得ない理由としてあげた教頭不足解消という意義すら薄れてきているように思います。これならば教頭不足対策として、むしろ副校長や教頭補佐、教頭補助の配置を進め、教頭の負担軽減を講じるほうが有効であると思います。しかも、本年度の外部合格者は、市の教育委員会で長年にわたり勤務された行政職であると聞いており、これまでの経過から落ちつくべきところに落ちついたなというのが感想であります。やはり、民間企業で培われた新たな発想を学校運営に取り入れるという当初の目的からは外れていると言わざるを得ません。
 このように、現在の校長公募制度は、課題も無駄も大きいものになっております。このことについての評価・検証が十分でない現状も、市長には御理解をいただきたいと思います。
 我が会派としては、校長公募も外部人材の登用も決して全否定してるものではありません。現在の公募のあり方で続けることが問題であり、この問題の根本にあるのは、条例により公募を原則実施することと定められていることだと、改めて指摘をしておきたいと思います。
 我が会派としては、条例を改正し、外部人材の採用ありきではない公募に変えていくべきだと考えますが、市長の御所見をお伺いします。
A

吉村洋文市長

 校長公募は、柔軟な発想や企画力、それから組織経営力によって、魅力的で充実した教育活動を展開できる人材を広く求めることを目的として、内外公募により実施しています。外部人材には、従来の慣行にとらわれない視点や発想で創意工夫を凝らした取り組みを推進している校長がいます。一方で、御指摘のとおり、不祥事を起こすなどにより、任期満了を待たずに退職する事例が発生していることも確かにございました。
 このことについて、市会で採択された決議を重く受けとめまして、公募制度のあり方検討プロジェクトチームを立ち上げて、公募制度の運用状況の分析と、それから公募人材の実績検証、これを通じて制度の課題を整理した上で、その対応策を取りまとめました。それを受けまして、採用プロセスの改善や適格性を欠く場合の対応、優秀な人材の確保といった観点で検討しまして、26年度実施の校長公募から選考方法や任用のあり方を大幅に変更しました。
 具体的には、内外人材で採用枠を設けずに、求める人物像に照らして一定の水準に達した者を合格にする人物本位の厳正な選考を行うなどの変更を行いました。あわせて、それまでの実績と反省点も踏まえて、退職校長によるフォロー体制も充実させて、外部人材がこれまで培ってきた組織マネジメント能力を遺憾なく発揮できるよう支援しております。
 これらの取り組みを通じて、例えばNPOなんかと連携して土曜日に学習支援の場を設けたり、あるいは海外の学校との相互訪問を通じて国際理解教育を推進したりするなど、学校の実情に応じた積極的な教育活動が展開される、そういった成果もあらわれてます。
 今年度につきましては、人物本位の厳正な選考の結果、外部人材は1名のみの採用になっておりますけれども、人事施策としては外部から内部に匹敵またはそれ以上の適材を得ることができる観点から、公募には人材を広く求めるという意義が引き続きあるものというふうに考えております。
 校長につきましては、今後とも課題の継続的な改善を図りながら、公募による適材の確保に努めていきたいというふうに思っております。

Q
 一定の改善をされたという御答弁でございますが、実は初年度以降にも問題の公募校長がいるということも申し上げておき、この点につきましては、また後日、常任委員会等で指摘をさせていただきたいと思います。
 また、市長は、議会と対話をされるとおっしゃっておりますので、前市長のような議会の判断を覆すような再議はされない、そういうことを期待しておきたいと思います。  またこの間、外部任用の校長に対して教育委員の対応は非常に甘く、学校現場の混乱の収束へ向けた対応もとても適切とは言えません。任命責任も含め、教育委員の責任は極めて重いと考えております。今後の教育委員の選任に際しては、議会として十分に注目していきたいと申し上げておきます。
 次に、学校教育ICT活用事業についてお聞きをします。
 学校教育ICT活用事業については、平成25年度と26年度にモデル校における実証研究が行われ、その研究において、学力に係る成果については十分な効果検証ができておらず、さらに検証が必要であると聞いております。
 しかし、教育委員会は今年度中にモデル校以外の小中学校にタブレット端末を40台配付し、全市展開するということであります。また、この事業の当初の計画によれば、さらに今後、小学校で160台、中学校で120台に達するまで順次タブレットを追加していくということであります。
 我が会派としても、学校教育におけるICTの活用は、時代の要請として必要なこととは認識をしておりますが、効果検証もしっかりと行わず、多額の財源を投入して次から次へとタブレット端末を追加整備することは、PDCAサイクルから考えても理屈に合いません。また、教員がICT機器の活用に習熟するためには十分な研修が必要であり、教員の負担増にもつながるのではないかと懸念をしております。
 今後、モデル校を拡充し、新たに実証研究するとお聞きしておりますが、モデル校での効果検証もできていないのに全市に拡充するというのでは、モデル校の体をなしておりません。40台のタブレット端末を導入するのであれば、そのタブレット端末の活用実態も含め、しっかり効果検証をした上で追加のあり方を検討すべきであると考えますが、この点についての市長のお考えをお伺いします。
A

吉村洋文市長

 子供たちが今後生きていくこの将来の社会においては、科学技術や情報化が一層進んで、先進的なICTを活用しながら、自分で考えて判断して、仲間と協力して課題を解決する力が求められてくると思います。子供たちの生き抜く力というのをつけていかないと、これからの社会ではなかなか厳しい状況になってくるのかなというように思っています。
 本市においても、グローバル社会をたくましく生き抜く子供を育成するためには、学校教育ICT活用事業、これは重要であるというふうに思っております。モデル校の実証研究では、教員がICT機器を活用して資料を効果的に提示することで、わかりやすく説明するなど、教員のICT活用指導力が向上するとともに、児童・生徒がICT機器を活用して自分の考えをわかりやすく伝えたり、友達と一緒に考えたりするなど、学習活動も充実したというように聞いてます。このような成果を踏まえて、来年度からタブレット端末を活用した授業について、全市展開を図っていくということにしています。
 一方で、御指摘のとおり、この学力にかかわる一部の効果検証について、モデル校の数が少なく、1校の数値によりモデル校全体の数値が大きく変動するといった課題もあると聞いております。教育委員会には、これまでモデル校で培ったノウハウを生かし、どの学校でも、どの先生でもICT機器を活用した授業ができるようにするとともに、モデル校や各小中学校でのICT機器の活用について、効果検証、これをよりしっかりと行うこと、これは私も大事だというふうに思っております。
 そういったこのICT機器を有効に活用した新しい学びがよりよいものとなるように、そういった効果検証もしっかりやって、取り組んでいってもらいたいというように思っております。

Q
 しっかりと現状を把握していただきまして、今後の動きを注視していきたいと思います。  次に、塾代助成事業についてお聞きします。
 塾代助成事業は、対象に既に塾に通っている生徒が多く含まれているため、学力向上の効果検証は非常に難しいものであります。中学生の学力の向上は、公教育、すなわち学校教育によって達成すべきものであり、学習塾等の学校外教育に重きを置くべきものではありません。
 子供たちの教育には、学校教育と学校外教育のバランスが重要であります。学校現場の実態を見れば、やるべきことは幾らでもあり、このような学校外教育に偏重して貴重な財源を投入するのではなく、本来の自治体の役割である学校教育にこそ財源を投入すべきであります。
 また、前市長は、子育て家庭の可処分所得をふやす経済対策であるとも主張されておりましたが、そのようなことは一地方自治体である大阪市がやるべきことではありません。このままこの事業の対象者を拡大し続ければ後戻りできなくなると考えますが、市長の見解をお伺いします。
A

吉村洋文市長

 塾代助成事業につきましては、子育て家庭の経済的な負担を軽減して可処分所得をふやすとともに、家庭の経済状況によって学習環境が左右されることなく、子供たちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するものでありまして、その効果は、アンケート調査を行って検証しており、事業効果があるというふうに認識してます。決して学校教育を軽んじているというわけではなくて、この事業は子供たちの多彩な個性や才能に応じた学習意欲を応援する機会や選択を提供するものであります。
 この事業は、学習塾等のサービス、これを現物給付し、確実に学校外教育に消費されるように、利用目的を明確化しております。
 今後もこれが利用しやすいものになるように、中学校と学習塾等の事業者との障壁というのを私はできる限り取り除いていきたいというふうに思ってますし、選択できるサービスの幅を広げて、子供の教育の機会、これをふやしていきたいというふうに思っております。

Q
 今、市長がおっしゃいました現在市が行っているアンケートは、この事業を検証するには十分なもんではありません。繰り返しになりますが、対象者をこのままふやせば、後戻りできない事業であることは間違いありません。そのことも踏まえて、継続の可否を慎重に御判断いただきたいと要望しておきます。
 次に、中学校給食についてお尋ねをいたします。
 これまでの市会の質疑において、現行のデリバリー方式での中学校給食は、温かい給食、柔軟な分量調整等に限界があるということで、学校調理方式に切りかえる旨の説明がありました。我が会派としても、これまでも、デリバリー方式についてはアレルギー対応ができないことや異物混入があることなどを指摘したところであります。
 それにもかかわらず、本市ではデリバリー方式で全員喫食を導入し、結果として今現在でも残食がどんどんふえ、とても食育と呼べるものではありません。残食が多いということは、子供たちの栄養摂取が十分にできておらず、食育の観点から問題があるだけではなく、我々の調べによると、その残食は年間5億円となり、現在の残食率のままさらに来年度、対象学年をふやすと事業が拡大をし、年間8億円にも及ぶことが想定をされております。これは、保護者が支払う給食費の一部が無駄となっていると言わざるを得ません。
 市長も、残食については非常に多いことは認識をされてると思います。しかしながら、この5億円という数字は本当に衝撃的であります。また、私どもも契約や違約金の問題については認識をしておりますが、このような状況を鑑み、重大な事故が起こる前に、子供たちのために来年度からすぐに選択制に戻すべきと考えますが、市長のお考えをお伺いします。
A

吉村洋文市長

 私の方針としまして、子育て世代、子供世代をしっかりと行政としてサポートしていくということにしてます。中学校給食につきましては、特に力を入れていかなければならない教育施策の一つであるというふうに位置づけています。
 本市では、朝食を食べていない中学生の割合が全国平均に比べて非常に高く、食習慣、食生活の改善が喫緊の課題であった中におきまして、中学校給食を導入したということは、栄養バランスに配慮した昼食を中学生に提供できる環境を整えたという点で、大きな前進であったというふうに認識しています。
 今後さらにこの取り組みを前に進めることが重要であるというふうに考えておりまして、温かい給食を食べたいという子供、あるいはその保護者の強い声に応えまして、学校調理方式に一日でも早く、できるだけ早く、早急に移行して、私の任期中に全ての学校での移行を完了したいというふうに考えております。
 一方で、学校調理方式に移行するまでの間におきましては、デリバリー方式の給食を食べる子供たちへの対応も非常に大切でありまして、子供たちの声を聞いて、温かいおかずの提供や献立内容なんかについても改善に努めるなどして、しっかりと配慮をしていきたいというふうに思っております。

Q
 市長は、実施方式の切りかえを任期中に行うとおっしゃっておりますが、このように実施方式を切りかえるということは、これまでの前市長の方針のもと、デリバリー方式で無理やり全員喫食を行ってきたことは、大きな前進ではなくて、施策として失敗したからにほかならないと思います。また、子供たちのためにいま一度考え直していただいて、自校方式になる前、一遍に変わるわけではありませんから、その他の子供たちについては選択制を導入していただくようにお願いを申し上げます。
 次に、財政に関する認識についてお聞きします。
 大阪市の財政は、平成元年度以来、26年連続で黒字を維持しています。そのことについては、前市長もさきの決算市会で明言をされておりました。また、財政の健全化が着実に進められていることについては、先ほどの市政改革に関する質問で指摘し、市長とも認識の一致を見たところでありますが、一方で、大阪市は今後の財政収支概算(平成27年2月版)で示されているとおり、当面は二、三百億円程度の通常収支不足が見込まれているところであります。
 ここまで学校教育ICTやバウチャー等、多額の財源が必要な事業について指摘をしてまいりましたが、さらに市長は、施政方針の中で、子どもの教育・医療無償都市大阪を目指すとして市民サービスの拡充を宣言されておりますが、今後、当面見込まれる通常収支不足との関係で問題はないのでしょうか。前市長は、将来世代に負担を残さないため、予算編成に当たっては、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むとして、通常収支不足の解消を目指しておられましたが、市長はその方針を変更するということでよろしいのでしょうか。
 市長の財政に関する認識と予算編成に当たっての方針、そして子供の教育費、医療費無償化に係る財源はどうなるのかについて、御所見をお伺いします。
A

吉村洋文市長

 本市の財政については、人件費や投資的経費の抑制を図っているものの、最も税収の多かった平成8年度決算と比較すると、依然として税収が約2割も低い水準で推移する一方で、扶助費や市債の償還のための公債費などは2倍を超えて、中でも生活保護費は約2.6倍に達するなど、義務的な経費が増嵩しておりまして、今後の財政収支概算(平成27年2月版)においては、当面は約200~300億円の通常収支不足を見込んでおり、厳しい財政状況であるというふうに認識しています。
 こうした認識のもと、予算編成に当たっては、市民感覚を持って行財政改革を徹底的に行って、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むことを原則とするなど、将来世代に負担を先送りすることがないように財政健全化に取り組むとともに、限られた財源のもとで一層の選択と集中に全市的に取り組むというふうにしております。予算編成に当たっての基本方針は、そういった意味で継続していきたいと思っています。
 子供の教育費、医療費無償化など、市民サービスを拡充するための財源については、これまでの改革の成果を生かして、新たな価値を生み出す改革に積極的に取り組むとともに、都市の成長を実現することで生み出していきたいというふうに考えております。また、予算の編成方針については、厳しく見ていきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、施政方針演説で掲げた事項については、これからの予算編成の中で各会派の御意見も聞いて予算に反映した上で、今後の予算市会において、各事業の内容や進め方、財源のあり方について具体的な議論を行っていきたいというふうに考えております。

Q
 選択と集中ということは、削る部分があるわけでございますが、市長のおっしゃるとおり、予算市会でお伺いしていきたいと思います。
 次に、中小企業支援についてお聞きします。
 市内事業者数の98%、従業者数の約7割を占める中小企業が大阪経済を支えています。その中小企業が元気を取り戻すことこそが、大阪経済が大きく成長するための鍵を握ると言っても過言ではありません。
 前市長が就任された平成23年度から平成27年度にかけて、中小企業支援関連の予算は大幅に減少しており、前市長は残念ながら中小企業への支援に力を入れたとは到底思えません。
 ただ、その中で、大阪産業創造館においては、先端分野にチャレンジするベンチャー企業のみならず、地域で地道に頑張っている中小企業に対してもしっかりと手を差し伸べ、ニーズに応じた支援メニューを総合的に展開しております。
 具体的には、300回近いセミナーや展示商談会などを実施し、4万人以上の方にサービスを利用していただいており、利用者の満足度も非常に高いように聞いております。
 行政からの押しつけの施策ではなく、産業創造館で実施されているような中小企業にとって本当に必要な事業を実施していくことが求められているものであり、こういった取り組みを、より充実していくことが重要であります。
 先般の市長の施政方針においては、環境・新エネルギーやバイオなど先端技術産業のさらなる強化とともに、努力する企業ほど優遇される仕組みへと転換を図るとの考えが示されましたが、大阪の経済を下支えしているのは、日々地道に努力をしている地域の中小企業であります。必ずしも先端的な分野に取り組んでいる一部の企業の力だけで大阪の経済は元気になるものではありません。
 成長分野にチャレンジする企業への支援も当然必要ではありますが、我々としては地域経済を支える大多数の中小企業への支援の充実こそが重要であると考えます。市長として今後どのように中小企業支援に係る施策を展開されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
A

吉村洋文市長

 まず、市内の中小企業は、大阪経済を牽引して、市民の雇用や暮らしを支える極めて大きな役割を果たしているというように思っています。その振興は大阪経済にとって重要であるというふうに認識しています。
 中小企業支援の予算について、前市長の点について御指摘がありますけれども、予算額は減少しておりますが、その主な要因は、金融支援に係る融資残高の減少であったり、信用保証協会の統合など、リーマンショック後の景気回復や制度的な理由によるものであって、中小企業の支援に力を抜いていたというものではないというふうに思っております。
 中小企業支援においては、これまでも団体への補助金支援から頑張る企業への個別支援へとシフトチェンジしてきていますが、私としては、創意工夫を凝らして新たな分野にチャレンジする企業や、事業継続に向けてひたむきに今努力してる企業など、前向きに努力する企業がその力を思う存分に発揮できる環境づくり、これを行うことが行政の重要な役割であって、そういった考え方を徹底していくようにしていきたいと思っております。具体的には、産業創造館において、中小企業が抱える経営課題に対し、ニーズに沿って柔軟かつ的確に対応していくことで、これまで以上に努力する企業がより事業展開しやすい、そういった環境整備に努めると、それとともに、大阪経済の成長に欠かせないものづくり企業への技術面の支援、これを充実させていくためにも、大阪市立の工業研究所と大阪府の産業技術研究所の統合を目指して支援機能の強化を図っていきたいと思います。
 また、健康、医療、介護、あるいはその環境・新エネルギーといった成長が期待される分野への中小企業の参入促進を図るとともに、うめきたにある大阪イノベーションハブなどで、新たな製品やサービスの創出に係るイノベーションが次々と生まれる環境整備というのを図っていきたいと思います。加えまして、新たに会社を興す起業のほうについても力を置いて支援したいと思っています。
 急増する外国人観光客など大阪を訪れる多くの人がもたらす消費、あるいはビジネスチャンスというのを市内の中小企業に結びつけていくということが、今後課題になってくるのかなというふうに思っております。
 府市一体の戦略であります大阪の成長戦略のもとで、今後こうした取り組みも含めた産業振興、中小企業支援の方針、これを取りまとめて、果敢に挑戦する中小企業をしっかりと支援して、大阪市をビジネスの場として一層魅力のあるものにしていきたいというふうに思っております。

Q
 今、市長おっしゃいました前市長の施策については、融資面以外の部分も大幅に減っているということもぜひ御確認をいただきたいと思います。今後この中小企業支援施策については、より具体的な施策に期待をいたしております。
 次に、関西ワールドマスターズゲームズについてお聞きをします。
 2021年関西ワールドマスターズゲームズについては、スポーツ大会という側面だけではなく、国内外からスポーツとともに地域の観光もあわせて楽しむという大会であります。
 市長は、観光が重要であるとおっしゃっておられますが、世界的な観光集客イベントでもある2021年関西ワールドマスターズゲームズについては、関西が一丸となって取り組むべきにもかかわらず、これまでは大阪府と大阪市だけが負担金を拠出しての参加をしないなど、その考え方は理解に苦しむところであります。
 市長は、広域連携は大事であると年頭記者会見でも述べられており、ぜひ何らかの役割の果たし方やかかわり方について検討し、柔軟に対応してもらいたいと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 関西ワールドマスターズについては、国際的な生涯スポーツの祭典として、スポーツの振興のみならず、国内外からの参加者やその家族が関西地域の観光も楽しむことで、交流人口の増につながって、大阪市にとっても集客・観光面から一定の効果があるというふうに考えております。一昨年、組織委員会が設立されまして、官民及びスポーツ関係団体が一丸となる体制となって、大阪市としては、広報等の協力支援を行っているところであります。
 このワールドマスターズについては、経済団体とも意見交換をしましたが、経済団体としては、非常にこれ一緒にやっていってほしいという思いを持たれています。大阪の成長を進めていくという意味では、やはりその経済団体とも一緒になって、ある程度進めていく必要がさまざまな分野についてあると思っております。例えば、IRなんかについてもそうですし、大阪市、この行政体と経済団体が連携をしない関係というのは余りよくないと思っておりまして、この連携を進めていくことが大事だろうというふうに思っております。広域連合についても、ここのワールドマスターズについてはぜひ参加してほしいと、それから、今回も自民党さんからもこういった形で常々言われているところであります。
 前市長の中で、議論の中で、さまざまこのワールドマスターズゲームズについて、この事業計画が不明瞭じゃないかとか、あるいは目的はどうなんだということについて課題がありました。私自身はこの課題について一定解決できないかという目で今見ております。このワールドマスターズゲームズの目的についてもそうであります。ですので、この前市長が指摘された課題について、一定程度これは大阪市の利益になると、大阪市の発展の一助になるというふうに私自身が判断したら、このワールドマスターズについて、大阪市として手を挙げるということも考えております。
 関西の経済3団体とさまざま今議論をしておりまして、また次に意見交換する場もございます。そういった意味で、このワールドマスターズゲームズについては、私自身でもう一回考えて、課題が解決できるんであれば手を挙げるということも考えたいと思っています。

Q
 ぜひとも、参加について前向きに再考をお願いしたいと思います。
 次に、文化施策についてお聞きします。
 文化の充実は、心豊かな市民生活を実現するとともに、都市格や都市魅力を高め、都市の活性化を図るために重要であると考えます。しかし、前市長は、経済至上主義に基づく文化行政を推し進め、大阪が誇る文化を支える団体への運営補助の廃止や、市音楽団の直営廃止などを行ってまいりました。
 市音楽団は、自立化への道を選択し、平成26年度からは、一般社団法人化をいたしました。法人化以降、市音は有料のコンサートや公演をふやし、収入源の確保のための努力をされているようでありますが、その結果として、区役所などが主催する演奏会、病院の院内コンサートや市民の身近な場所でメロディーやハーモニーを聞く機会は減少いたしております。また、中学校の吹奏楽部の指導も有料になったことで、実施回数が激減し、大阪の子供たちの豊かな成長にも大きなダメージを与えています。
 市は、自立化に向けた助成を平成28年度までの3年間行うとしておりますが、大阪市民が愛し、豊かな大阪に寄与してきた歴史のある市音は、市からの助成がなくなったからといって失われていいものではありません。我が会派としては、市音が市民に身近な存在であり続けられるように、助成のあり方や期間を再度検討し、3年目以降も引き続いて支援がなされることが重要であると考えておりますが、市長の御所見をお伺いします。
 一方で、文化施策を進める新たな仕組みとして、平成25年度に大阪アーツカウンシルが設置されました。これまで行政だけの判断に応じて行われてきた文化団体への補助や助成金の審査、評価等に外部の人材を登用して、より現実に即した文化施策を進めていくことは必要であると思います。しかし、実際に今のアーツカウンシルがどのような役割を果たしてきたのかが、我々から見たらよくわかりません。
 前市長は、文化施策におけるPDCAサイクルはできたと評価をされておりましたが、市長はアーツカウンシルを今後どのように再構築し、文化振興につなげようとしているのか、市長の御所見をお伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 大阪市音楽団については、前市長の市政改革プランのもとで、平成26年度より一般社団法人として自立化して、拠点を南港のATCに移して、意欲的に事業展開を進めていただいております。
 大阪市音楽団については、平成25年度の条例廃止の議決の際、「自立的な経営基盤の確立に向け、必要な期間において助成その他の支援を講じること。」との附帯決議をいただいたところでありまして、自立化を支援する立場から、平成26年度から3年間で3億4,800万円の助成を行うこととしています。平成29年度以降については、非常に厳しい経営状況ですが、一層の経営努力を行い、持続的な運営が可能になると聞いております。
 大阪市音楽団につきましては、90年に及ぶ歴史と伝統があるすばらしいプロの吹奏楽団であって、今後、青少年から大人まで幅広く受け入れられている吹奏楽を含めたさまざまな文化がハーモニーとなって、大阪の都市魅力を向上させていくというために、大阪市音楽団の活躍の場の創出についても協力していきたいというふうに思っております。
 次に、アーツカウンシルについてですが、芸術・文化の専門家として、行政と一定の距離を保って文化事業の評価・提案などを行う役割を担っていただいております。アーツカウンシルの創設によって、特定団体への支援から、さまざまな芸術・文化活動をより幅広く支援するという仕組みに転換が図られまして、助成事業の検証においても、公平・公正な評価機能として成果を上げているというふうに認識しております。しかし、限られた体制での活動であって、全ての機能を十分に発揮するにはまだ至っていないのかなというふうに思っております。また、来年度から2020年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムの充実を図るため、国においても地方における文化施策、推進体制の構築促進が示されております。
 今後はこうした国の動きも見きわめながら、人員の拡充など、アーツカウンシルの組織体制や機能のさらなる充実に努めていきたいと思っています。こうした取り組みを通じて、市民、アーティストの自主的な活動へのサポートを行って、文化が都市魅力の向上に寄与できるよう文化施策を推進してまいります。

Q
 日本中が注目しております大阪の文化の振興に対しまして、市長の教養あふれる施策となるように期待をしておきます。
 次に、市長のトップセールスについてお聞きをします。
 前市長は、大阪の外交の窓口は知事が担うべき役割として、各国大使の表敬訪問なども一切受けず、また、海外出張も任期中に一度も行かれませんでした。しかし、吉村市長は、大阪市の強みを国内外に積極的にトップセールスしていくと言われており、我が会派としても大いに取り組んでいただきたいと考えております。
 市長が先頭に立ってトップセールスを行うことにより、国内外に対して大阪の多様な魅力を強力に発信し、大阪市を元気にしていってもらいたいと考えております。なお、その際には、場当たり的なセールスをするのではなくて、明確な戦略を持って取り組んでいただくことが重要であると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
A

吉村洋文市長

 場当たり的なセールスになってはならないというのは、本当に問題意識として共通しております。今のこの回復傾向にある大阪経済を確かな成長軌道に乗せていくというためには、大阪が持つすぐれた技術、あるいは産業、観光、文化などのさまざまな強み、これを国内の周辺自治体、それから経済団体、そういったところと連携を深めながら、今後より強力に国内外へ情報を発信していく必要があるというふうに思っております。
 大阪は、きょうも何度か言いましたが、観光の資源においてはすばらしいポテンシャルを有しているというふうに思っております。また、市内には光る技術を持った中小企業が多数存在しておりまして、世界に通用する中小企業のものづくり力、ライフ・グリーン分野等の先端技術分野、そういったアピールすべき点はたくさんあろうかと思っております。
 この日本のツインエンジンと言えるような副首都・大阪の実現のためにも、この大阪の魅力発信につながる、これ絶好の好機と捉えて、可能な限り私自身が赴くとともに、ただ、その場合は場当たり的なトップセールスにならないように、きちんと戦略を持って取り組むとともに、海外の公的機関などとのネットワーク、これも構築するなど、大阪の国際競争力の強化に向けた戦略、これをしっかり持って、大阪の強みというのを市長として積極的に国内外にアピールしていきたいというふうに思っております。

Q
 ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、市長は、前市長の取り組みを継承し、大阪都構想の設計図案を修正、任期中に住民投票を実施するともおっしゃっておられます。これは、大阪市の解体を目指していくというようにも受け取られますが、大阪市を解体するのであれば、今、一体、大阪市の何をセールスするおつもりなのかということになってしまいます。大阪市のトップセールスに取り組むということは、市の存続を前提とされるのであるということで、我が会派は理解をしておきます。
 また、昨年12月28日には、副首都推進本部会議の第1回目が開催されたということでありますが、我々としては、昨年5月の住民投票で否決をされた大阪市解体論を再度蒸し返すためだけのものにも思え、その目的、意義を理解することができません。
 以上、市政の各般にわたりまして質問してまいりましたが、市長は創造的な改革に取り組んでいかれると発言をされております。我々の考える創造的な改革とは、反省もないままに暴走することなく、市長が二元代表制の一翼たる議会の意見を建設的に取り入れていくものが創造的な改革であります。中には厳しい質問もありましたが、市長のおっしゃる創造的な改革が我々と思いを同じくしていただいており、協調して市の発展が進んでいくことを期待していることのあらわれであると申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴いただきましてありがとうございました。
A

以上で、本日の質問は終了いたしました。